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こんにちは!「KRS・828製作工房」ブログ更新担当の中西です。
さて今回は
828のつぶやき~キッチンカーの始まり~
ということで、この記事では、海外におけるキッチンカーの起源から現代に至るまでの歴史を深掘りします。
キッチンカー(フードトラック)は、現代のストリートフード文化の象徴とも言える存在です。そのスタイリッシュな見た目や機動性、独自性で注目を集めていますが、このビジネスモデルには驚くほど長い歴史があります。キッチンカーの発祥は、単なるトレンドではなく、世界中で食の提供と移動のニーズが交差した結果として生まれたものであり、その背景にはさまざまな文化的、社会的な要因が存在しています。
キッチンカー文化の発祥地として最も注目されるのはアメリカです。その歴史は19世紀半ばに遡ります。当時、広大な土地を持つアメリカでは、長距離移動や開拓地での食事のニーズを満たすために移動式の食事提供サービスが求められていました。
・チャックワゴンの登場(1800年代中頃)
アメリカのキッチンカーの元祖とされているのが「チャックワゴン」です。この概念は、1866年にテキサスの牧場主であるチャールズ・グッドナイト(Charles Goodnight)によって考案されました。彼は、西部のカウボーイたちが牛を移動させる「キャトルドライブ(牛の大移動)」中に食事を取れるよう、荷車を改造して移動式の簡易キッチンを作りました。チャックワゴンには、調理用の器具や保存可能な食品(豆類、塩漬け肉、コーヒーなど)が積み込まれ、荒野での食事を支える大きな役割を果たしました。このコンセプトは、現代のキッチンカーのルーツとも言えるものです。
・工業化とホットドッグカート(1900年代初頭)
19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカの都市化が進むと、街中で手軽に食事を提供する移動販売が登場しました。特にニューヨークやシカゴでは、「ホットドッグカート」がストリートフード文化の先駆けとなりました。これらのカートは、主に移民が経営し、労働者階級の人々に安価で手軽な食事を提供しました。
・「ランチワゴン」の普及(1920年代〜1940年代)
1920年代には、「ランチワゴン」と呼ばれる移動式の食事提供車両が誕生しました。これらは建設現場や工場の近くに駐車し、サンドイッチやコーヒーといった簡易なメニューを提供するもので、労働者たちの間で大いに普及しました。この時期には、屋台文化が都市生活に深く根付いたこともあり、移動販売車がフードトラックの進化に重要な役割を果たしました。
ヨーロッパでは、キッチンカーの形態はアメリカと少し異なります。その歴史は、主に屋台や市場文化と結びついています。
・市場と移動販売の伝統
ヨーロッパの多くの国々では、移動販売の起源はさらに古く、中世の市場文化にまで遡ることができます。市場や祭りで食事を販売する屋台は、庶民にとって手頃な食事を提供する役割を果たしていました。特にフランスの「クレープ屋台」や、イギリスの「パイ売り」など、特定の地域に根ざした移動販売文化が存在していました。
・第二次世界大戦後のフードバン(1950年代〜)
戦後のヨーロッパでは、経済復興とともに移動販売車が再び注目されました。イギリスでは「フードバン(Food Van)」と呼ばれる移動販売車が登場し、建設現場や学校付近で軽食を提供しました。イタリアでは移動式ピザ釜を搭載した車両が登場し、ピザを焼きたてで提供するサービスが普及しました。
アジアでは、キッチンカーの起源は屋台文化と密接に結びついています。例えば、中国や東南アジアでは、数世紀にわたる屋台文化が地域社会の中で発展してきました。
・中華圏の屋台文化
中国では、移動式の食事提供は伝統的な屋台として長い歴史を持っています。手押し車や自転車に調理器具を搭載した「屋台飯(ストリートフード)」は、地域住民にとって手軽で親しみやすい食事スタイルとして広まりました。特に点心や麺料理の屋台は、現代のキッチンカーに通じるコンセプトと言えます。
・東南アジアのモバイル屋台
タイやベトナムでは、バイクに調理器具を取り付けた「モバイル屋台」が広く普及しています。これらは現代のキッチンカーの小型版ともいえる形態で、安価で素早く提供されるストリートフード文化を支えています。
現代のキッチンカー文化は、2000年代以降に爆発的に発展しました。アメリカでは、ロサンゼルスの「Kogi BBQトラック」がその象徴的な存在として知られています。この韓国風タコスを提供するキッチンカーは、SNSを活用したマーケティングで一躍話題となり、キッチンカーが「グルメの新しい形」として認識されるきっかけを作りました。
また、ヨーロッパやアジアでも、キッチンカーがファッション性の高いビジネスとして再評価されています。フェスティバルやイベントでの出店、観光地での移動販売など、キッチンカーはグローバルに進化し続けています。
キッチンカーの歴史は、ただ食事を提供するだけでなく、社会や文化、経済の変化に寄り添いながら発展してきました。その起源は地域によって異なるものの、現代では「食のモバイルサービス」という共通の価値観のもとで結びついています。移動販売の形態は、今後も技術革新やライフスタイルの変化とともにさらなる進化を遂げるでしょう。